介護付き有料老人ホームの費用相場は388万+月24万!負担軽減法4つも

あなたは、
- 介護付き有料老人ホームの費用が知りたい
- 介護付き有料老人ホームの費用を減らす方法が知りたい
- 納得のいく介護付き有料老人ホーム選びがしたい
などとお考えではありませんか?
特に高額ともいわれる介護付き有料老人ホームの費用について、相場を知った上で負担を軽くしながら利用したいことでしょう。
結論からいうと、介護付き有料老人ホームの費用の平均値は以下のとおりです。
入居一時金 | + | 月額料金 |
60万円~690万円 | 19.6万円~31.7万円 |
この記事を読めば、介護付き有料老人ホームの費用相場と内訳を知り、さらに費用の負担を減らせる方法がわかります。また自分に合った老人ホーム選びのコツもわかるので、今後の参考にしてください。
具体的には
1章で介護付き有料老人ホームの費用相場と内訳
2章で介護付き有料老人ホームの費用負担を減らす4つのポイント
3章で介護付き有料老人ホーム選びの事前準備2つのポイント
4章で介護付き有料老人ホームの費用についてのQ&A
について詳しく解説します。
この記事を読んで、介護付き有料老人ホーム選びについての不安を少しづつ解消し、自分に合った施設を選びましょう。
介護付き有料老人ホームの費用相場と内訳
まずは介護付き有料老人ホームの費用の相場とその内訳をつかみましょう。
- 費用の相場は「入居一時金60~690万円+月額料金19.6万円~31.7万円」
- 費用(入居一時金と月額料金)の内訳
- 入居一時金の主な支払い方法は3種類
それぞれ説明します。
費用の相場は「入居一時金60~690万円+月額料金19.6万円~31.7万円」
介護施設は介護付き有料老人ホームの他にもいろいろあります。
施設のタイプは主に8つに分けられますが、それぞれかかる費用の目安が違ってきます。
介護付き有料老人ホームとその他の施設について、それぞれの入居費用と月額費用の平均値の違いを確認しておきましょう。
入居一時金 | 月額費用 | |
特別養護老人ホーム | 0円 | 4.8万円~21.5万円 |
介護付き有料老人ホーム | 60万円~690万円 | 19.6万円~31.7万円 |
住宅型有料老人ホーム | 20万円~25.1万円 | 14.1万円~18万円 |
グループホーム | 15万円 | 14.3万円~14.6万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 15万円~23.8万円 | 13.1万円~22.1万円 |
介護老人保健施設 | 0円 | 9.3万円~13.6万円 |
ケアハウス | 30万円 | 8万円~15万円 |
シニア向け分譲マンション | 2,322.5万円~4,036.1万円 | 5.9万円~8.4万円 |
費用の内訳
介護付き有料老人ホームの費用の内訳は、以下の2つです。
- 入居一時金
- 月額費用
それぞれ説明します。
(1)入居一時金
多くの介護付き有料老人ホームでは「入居一時金」として最初にまとまった金額の初期費用を払います。支払いをすることで、入居者はホームでの部屋を確保し、介護サービスや生活支援サービスを受けられます。
入居一時金の金額は施設によってまちまちですが、
- 介護サービスが充実している
- 施設の設備が充実し、雰囲気が良い
- 施設がある場所の地価が高い
- 施設のある地域で介護サービスの需要が高い
などの理由があると一時金は高額になりがちです。
逆に、入居一時金を0円や低額に設定している施設もあります。
- 毎月均等金額払い
- 分割払い
として支払うことで、初期費用の金額を抑えられます。しかし月々の支払合計金額はその分多額になります。
まとまった金額を一度に支払うことが難しい場合はこちらも検討しましょう。
(2)月額料金
毎月利用者がさまざまなサービスや設備を利用するために支払う費用は以下の9つです。
- 居住費
- 食費
- 施設管理費
- 施設介護サービス費
- 上乗せ介護費
- 自費サービス費(介護保険サービス外)
- 追加サービス費(上乗せサービス費)
- 日用品費
- 医療費
それぞれ説明します。
■居住費
施設を利用する際に使う部屋の利用料です。個室や相部屋、部屋の広さ、設備の充実度によって価格が変わります。また、一時入居金をたくさん支払うことで金額を減らせます。
■食費
施設内で出される食事代です。食材費や維持管理費、食事に関する業務委託費が含まれます。
■施設管理費
水道光熱費や施設の管理運営、維持費用です。
■施設介護サービス費
介護士や看護師が食事や排せつ、入浴などの生活介助を行う費用です。介護保険が適用され、利用者は費用の1割(所得によっては2~3割)を負担します。
■上乗せ介護費
介護付き有料老人ホームの場合、介護される入居者3名に対し最低1名の介護・看護者を置かなければなりません。その基準を超えて職員を配置している場合はその分の費用がかかります。これには介護保険は適用されません。
■自費サービス費(介護保険サービス外)
施設での行事や入居者のサークル活動といった娯楽費や散髪代、買い物代行の費用などです。
■追加サービス費(上乗せサービス費)
入浴や送迎など、あらかじめ月内で決められた回数を超えて利用するとかかる費用です。
■日用品費
個人で利用する石鹸やはみがき粉などの身の回りの品、飲み物、お菓子などの費用のことです。介護付き有料老人ホームなどの民間施設では、おむつ代や介護での使い捨て衛生用品の費用もここに入ることがあります。
■医療費
入居者が医療を受けるときは、介護施設と提携した病院の医師が施設に往診したり、病院に入院したりして治療します。その際の医療費や薬代、入院費などはすべて自己負担です。
入居一時金の主な支払い方法は3種類
入居一時金については主な支払い方法が3種類あり、それぞれ入居一時金と月額料金の金額が違ってきます。施設によっては複数の支払い方式を用意していることもあります。
- 前払い方式
- 月払い方式
- 併用方式(一部前払い+月払い)
それぞれ説明します。
■前払い方式
施設の入居時にまとまった金額を支払う方式です。施設の利用料や居住費用を前払いするため、月々の利用料が安く抑えられます。
この金額は老人ホームの想定入居期間(10~15年ぐらい)を参考に設定されます。想定入居期間より長く入居することを考えている方におすすめの支払い方式です。それより前に退去した場合は金額の一部が返還されます。
■月払い方式
入居一時金を支払わずに、月々の利用料として支払う方式です。高額な一時金を最初に支払わずにすむ反面、月々の支払いは高額になります。また、長期間入居する場合は前払い方式よりも金額が割高です。
施設の短期間の入居を考えていて、初期費用を抑えたい方におすすめです。
■併用方式(一部前払い+月払い)
入居一時金を一部前払いし、残りの費用を月々の利用料として支払う方式です。前払いする金額を設定することで、柔軟に月額費用を調整できます。
個々の経済状況や入居予定期間に合わせて支払えるので幅広い方におすすめです。
【コラム】入居一時金の返還金・クーリングオフ
入居一時金は返還されることがあります。ここでは2つ紹介します。
- 入居一時金の返還金
- クーリングオフ
それぞれ説明します。
■入居一時金の返還金
入居一時金は施設によって決められた想定居住期間の中で全額が費用として使われます。これを償却といいます。
入居一時金の償却には2種類あります。
- 初期償却
- 月々の償却
初期償却は施設の安定的な運営を目的とするお金で、30%ほどが入居時にすぐ差し引かれます。
残りの70%が月々の償却分となり、想定居住期間内で毎月均等割されます。
施設を想定居住期間内に退去した場合は、「初期償却」と「それまでに居住した期間の月々の償却分の合計」を入居一時金から差し引いた金額が返還されます。
■クーリングオフ
施設の入居契約をしてから90日以内に退去する場合は、初期償却分を含んだすべての入居一時金が返還されます。ただし入居時に利用した食事代や日用品費などの実費は返還されません。
介護付き有料老人ホームの費用負担を減らす4つのポイント
ここでは介護付き有料老人ホームの費用負担を減らす4つのポイントを確認しましょう。
- 入居一時金or月額料金を多めに支払う
- 自宅資産を活用する
- 高額介護サービス費支給制度を活用する
- 高額医療・高額介護合算療養費制度を活用する
それぞれ説明します。
入居一時金or月額料金を多めに支払う
入居一時金は決められた期間内で初期償却と月々の償却を行います。初期償却分は一度入居すると返還されないので、期間内での退去は割高となります。
このため、想定利用期間より長期の利用を考えるなら、入居一時金を多く支払うのがおすすめです。
逆に、利用を短期で考えるなら、入居一時金を減らして月額料金を多めに支払いましょう。
施設によっては複数のプランを用意しているので、自分に合った支払い方法を見つけましょう。
自宅資産を活用する
親御さんの自宅資産を活用する方法もあります。地方自治体や金融機関が取り扱う、リバースモーゲージという制度です。高齢者が自宅を担保にまとまったお金を借ります。返済方法は2種類あり、
- 月々の返済は行わず、亡くなった時に自宅を売った資金で一括返済(地方自治体)
- 月々は利息のみ返済を行い、亡くなった時に自宅を売った資金で元本を返済(金融機関)
となっています。
リバースモーゲージはローンの一種です。
- 将来金利が上がれば最終的な返済額が上がる
- 地価の下落で自宅の担保価値が下がったときに一部返済が必要になることがある
などに注意が必要です。利用の際は余裕を持った借り入れを行いましょう。
高額介護サービス費支給制度を活用する
施設での介護サービスは、所得に応じた1~3割の自己負担で利用できます。しかし、特に要介護度が高い方はサービスを受ける機会がかなり多くなり、利用金額が膨らみがちです。
その負担を少しでも減らすために、介護保険では「高額介護サービス費」という制度があります。介護サービス費は世帯の所得に応じて月々の負担上限額が決められ、それを超えると超えた分の金額が支払われます。
高額医療・高額介護合算療養費制度を活用する
介護が必要な高齢者は、介護費用だけでなく医療費も著しく高額になることがあります。そのような世帯に対して経済的な負担を減らすための制度を「高額医療・高額介護合算療養費制度」といいます。
世帯内で医療保険と介護保険の自己負担の合計額が限度額を上回った場合、超えた金額分の払い戻しを受けられます。限度額は世帯の所得に応じて決まります。
【コラム】介護付き有料老人ホームの費用はなぜ高めなのか
介護施設の費用が大きく変わる原因は
- 公的施設
- 民間施設
の違いから来ています。
■公的施設
運営は地方自治体や社会福祉法人、医療法人などの老人福祉施設が主体となります。老人福祉法に基づいた運営です。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人福祉施設
- ケアハウス
メリット | デメリット |
費用が抑えめ | 長時間の入居待ち 低所得者や緊急に介護が必要な人が優先 入居条件が厳しく、条件から外れるとすぐ退去 |
■民間施設
運営は事業をしっかりと継続できる体力と信用のある団体であれば株式会社でも設立でき、営利企業が主体となります。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- グループホーム
- サービス付き高齢者住宅
- シニア向け分譲マンション
メリット | デメリット |
サービスが充実 入居条件にかなり融通がきく | 費用が高め |
介護付き有料老人ホームは介護度の高い方が入居されることが多く、サービスが手厚い分より高額になるのです。
介護付き有料老人ホーム選びの事前準備2つのポイント
介護付き有料老人ホームへの入居を成功させるには、事前準備がとても大切です。具体的には2つのポイントを押さえましょう。
- 家族で資金計画を考える
- 資金計画をふまえて希望に合う施設を選ぶ
それぞれ説明します。
家族で資金計画を考える
できるだけ早く、介護施設を利用するための費用をどれだけ払えるのかを調査し、資金計画を立てることが大切です。話し合いの時は家族全員(介護される親御さんと、その子供たち)が参加するとよいでしょう。
親御さんの資産と収入での入居を考える
介護施設を利用する場合にいくらまでなら払えるのか、まずは親御さんの資産と月々の収入(年金など)を全部洗いだして具体的な金額をつかみましょう。
もし、すぐに引き出せる預貯金が少なくても親御さんがご自宅をお持ちの場合は、高齢者が自宅を担保に入れてお金を借りる「リバースモーゲージ」も利用できます。
他の家族の負担と親御さんの財産管理を考える
もし親御さんの資産だけでは介護付き有料老人ホームの費用が出せないときは、子供たちが費用の一部を負担することも必要かもしれません。ただ施設入居の期間は長丁場になることもあるので、無理のない負担を心がけましょう。
また、親御さんの持つ財産の管理にも気を配らなければなりません。とくに認知症になって財産を自分で管理できなくなると、親御さん名義の不動産を活用できなかったり金融資産が引き出せなくなります。事前に立てた資金計画も無駄になりかねません。前もって家族信託(あらかじめ信頼する家族に財産の管理や処分を頼んでおくこと)を組み、必要な時に親御さんの財産が使えるようにしておきましょう。
資金計画をふまえて希望の施設を選ぶ
上の資金計画をふまえた上で、費用とサービス内容がバランスの取れた介護付き老人ホームを選びましょう。要介護度の高い方の場合、なかなか入居後のサービス内容を減らすことが難しいので費用が高額になりがちです。その分事前にしっかりと資金計画を話し合い、家族の皆が納得して施設を利用することがとても重要です。
地域のケアマネージャーに相談すると希望に合った施設の紹介を受けられ、相談にのってもらえるのでぜひ活用してください。
介護付き有料老人ホームの費用についてのQ&A
介護付き有料老人ホームを選ぶにあたり、よくある質問をまとめました。参考にしてください。
介護付き有料老人ホームは生活保護でも入居できる?
2015年の公益社団法人全国有料老人ホーム協会の調査報告によると、全体の約1割の介護付き有料老人ホームが生活保護を受給していても入居できると回答しています。生活保護受給者用の入居プランがある施設を選びましょう。
扶養控除と障害者控除も使える?
施設に入居する以前に、既に扶養控除や障害者控除を世帯で利用している場合は、入居後もそのまま使えるときがあります。
途中で費用が払えなくなっても大丈夫?
介護付き有料老人ホームの入居後に費用を払えなくなった場合は、まず施設職員に相談しましょう。直ちに施設退去になることはなく、費用の支払いを一時延期してもらえるなどの配慮があります。その間に対策を考えましょう。
現在より費用負担の少ない施設に転居することが一番に考えられますが、その他にも公的制度を使って費用を減らす、在宅介護に切り替える、なども検討できるでしょう。
まとめ:介護付き有料老人ホームの費用について
■介護付き有料老人ホームの費用の相場の中央値は
「入居一時金387.8万円+月額料金23.7万円」
です。具体的には
入居一時金 | + | 月額料金 |
60万円~690万円 | 19.6万円~31.7万円 |
の幅があります。
■入居の時は最初に入居一時金を支払い、普段は月額料金を支払います。
入居一時金は高額な前払い金を支払うのが一般的ですが、施設によっては
- 前払い方式
- 月払い方式
- 併用方式(一部前払い+月払い)
に対応していることもあるので、自分に合った支払い方法を選びましょう。
■介護付き有料老人ホームの費用は4つのポイント
- 入居一時金or月額料金を多めに支払う
- 自宅資産を活用する
- 高額介護サービス費支給制度を活用する
- 高額医療・高額介護合算療養費制度を活用する
を意識すると費用が抑えられます。支払い方法の工夫や不動産の活用、公的補助の利用を心がけましょう。
■介護付き有料老人ホームを利用する事前準備としては2点
- 親御さんの資産状況の把握
- 資金不足のときは家族で負担するかの有無
を家族でよく話し合っておくと地域のケアマネージャーに相談する時もスムーズに話を進められます。
施設の候補を絞ったら体験入居をして、実際に施設で受けられるサービスや雰囲気を確認すると安心です。さまざまな条件を検討し、希望に合った施設を選びましょう。